本サイトではより多くの方に快適に利用して頂ける様に、アクセシビリティ面を充分に考慮したコンテンツの提供を心がけております。その一環として、閲覧対象コンテンツの全てにスタイルシートを使用して制作しております。現在閲覧に使用されているブラウザには、当方制作のスタイルシートが適用されておりませんので表示結果が異なりますが、情報そのものをご利用するにあたっては問題はございません。

建築パース イベントレポート


Visualizing Architectural Design Exhibition(VAD)国際建築イラストレーション展

日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会(JARA)主催の「国際建築イラストレーション展(VAD)」大阪展で2011年10月8日(土)に開催されたトークライヴを聴いてきました。

イベント概要
国際建築イラストレーション展(VAD)大阪展 レンダラーズトークライヴ
  • 日程:2011年10月8日(土)/場所:大阪ユビキタス協創広場CANVAS
  • 出演:平山信彦氏(株式会社内田洋行 知的生産性研究所所長)
    宮後浩氏(建築パースで芸術学博士号取得/「春の叙勲」受賞)
    宮崎岳彦氏(日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会理事長)
    西口浩英氏(国際建築イラストレーション展大阪展実行委員長)
    (司会)湯浅禎也氏(日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会関西支部長)
  • HP:VAD 国際建築イラストレーション展日本アーキテクチュラル・レンダラーズ協会(JARA)
<進化するプレゼンのテクニック、変わらないプレゼンの本質>
まずは、現場での最新のプレゼン手法について平山氏より話がありました。
コンピュータや携帯端末がどんどん進化している現在の現場でのプレゼン手法について「大きく3つの傾向があります。1つ目は費用対効果などの効用について理屈っぽい話をいかに分かりやすく見せてそれを直感的に感じてもらえるかといった理屈をわかりやすく直感的に見せるプレゼン。2つ目は完成したものを実際に使ったらどう見えるか、どう感じるのかといったシミュレーション型のプレゼン。3つ目はプレゼンというイベントは特別なものではなくなってスマートフォンやタブレットを使った日常的・即興的なプレゼン」と『今』のプレゼンテーションの傾向について具体的な解説がありました。

宮後氏からはプレゼンの本質について「見せ方は時代によって変わってきているが、『ないものを建築家と一緒に作っていく。中身をどう正確に伝えるか』という建築のプレゼンの根本的なことは今も昔も変わっていない。時代にあったテクニックを取り入れながらもプレゼンの本質は変わっていないということが重要。新しい世代はテクニックの追求に重きを置く傾向にあるが、建築パース製作者は、建築家がどういう思いでこの空間を作っているのかを理解することが重要。そうした上で、テクニックをどう使い分けるかが建築パース製作者に与えられた試練」と新しい世代への警鐘について触れつつ、プレゼンの本質の部分の重要性に関する話がありました。

宮崎氏からは「プレゼン手法の本質が今も昔も変わらないのは同感。今も昔も(プレゼンのために)建築パースを描いていることに変わりはない。建築パース製作者は建築物という壮大なもののプレゼンを行なっている」と建築パース製作者が手がけている仕事の重要性についての話がありました。
  • ↑ページTOPへ

(左)平山信彦氏、(右)宮後浩氏

(左)平山信彦氏、(右)宮後浩氏

<建築家と共に建築物の魅力を伝える、建築パース製作者の仕事>
『プレゼンでより効果を挙げるために建築パース製作者はどうあるべきか、何を磨くべきか』をテーマに宮後氏から話がありました。
建築パース製作者は、さまざまな建築家やデザイナーの考えを理解し、さまざなま空間を表現しないといけない。その空間を知って、空間の雰囲気を体感しないと本当の表現はできない。そのためには、いろいろな場所に行って建物の実物を見ること。写真で見るのとは全然雰囲気が違いますから。
一時期、ラブホテルの建築パースを描いていましたが、『行ったことないから描けません』では通用しません。ただ暗くすればラブホテルになるかといったらそう単純ではない。雰囲気などは体感しないと本物は表現できない。要は、建築パースの製作者は遊び人でないといけない」と、ご自身の体験も交えながら、建築パースを描く上でさまざまな経験を積み重ねることの重要性について語られました。
  • ↑ページTOPへ

(左)宮崎岳彦氏、(右)西口浩英氏

(左)宮崎岳彦氏、(右)西口浩英氏

<新しい世代へ提言>
最後には、出演された方々からこれからの建築パース製作者の若い世代の方に向けたアドバイスがありました。

西口氏「CGでも手描きでも作り上げていくものは『感性』、つまり自分がどう感じるかがとても重要です。感性を磨いていって欲しいと思います。そして、新しいものをどんどん創り上げて欲しいです

宮崎氏「人は美しいと思ったものを見たら、写真に撮ったり、絵に描いたり、人に話したりします。『感性を磨く』ってどうするのって思うと思いますが、私の30年の経験からすると『自分で見る、自分の言葉で人に伝える、手を動かして描いてみる』ことだと思います」

平山氏「幸いなことに日本には空間などとてもいいもの、面白いものがいっぱいありますので、いろいろなものを見てください。もう一つは、海外に出る。去年までゼミを受け持っていた大学のアジアのデザイナーの卵はみんな勢いがあって、みんな勉強していて、いろいろなことをよく知っている。そういう海外、特にアジアの方と交流するのはとても刺激になります」

宮後氏「デッサン力を身に付けて欲しい。CGがあるからパースを描けなくてもいいと思いがちですが、ものを描くということが大切。絵をたくさん描くことで感性を磨くことができる。コンピュータで形を作るのは自分の力とはいえない


建築パースを描く上で大切にしていること、これから建築業界を目指す方へのメッセージなど貴重な話をたくさん聞くことができました。私は建築パース制作業ではありませんが、自分の仕事ぶりを振り返りながら、もっともっと経験を積んで自分を磨いていかないといけないなと感じた有意義なトークライブでした。(H.T.)
関連ページ

ページ公開日:2011年11月8日