建築パース プロへのインタビュー
建築パース業に携わる方に制作の極意、テクニックを聞く「建築パース プロへのインタビュー」。
新潟県で住宅設計、建築パース作成業をされているkonstnär コンストナー 建築パース&デザイン/建築士事務所ドワーフの別所陽平さんに話を伺いました。
- プロフィール
- konstnär コンストナー 建築パース&デザイン/建築士事務所ドワーフ 別所陽平さん
- 建築パース制作歴:7年
- 使用ソフトウェア:ARCHITREND Z
- ホームページ:konstnär コンストナー Facebookページ
- 別所さんの日々のお仕事について教えてください。
- 新潟の「建築士事務所ドワーフ」で住宅設計と提案用建築パース作成を行いながら、個人では「konstnär コンストナー 建築パース&デザイン」として建築パース作成業を行っています。
- 建築パース作成業だけではないのですね。
- はい、専門学校卒業後から兄が経営する建築士事務所に勤務しています。
- 専門学校では建築の勉強をされたのですか。
- もともとは建築を学ぶ予定ではなかったのですが、父の希望もありまして、地元の建築系の専門学校に入学しました。
専門学校では、設計を学びました。建築パースの授業もありました。
その後、兄の経営する建築士事務所に就職しました。ちょうど設計を担当していた人と入れ替わりで入社したため、ほとんど自分で学びながら設計をしていました。大変でしたが、お陰で実務のスキルを早く身に付けることができましたし、建築パース作成の仕事でも役立てることができています。 - 二級建築士の資格をお持ちなのですね。
- はい、専門学校生の時に取得しました。現在は一級建築士の取得を目指しています。今年の設計製図の試験に落ちたので、来年の試験に向けて勉強をしているところです。
- ということは学科の試験には合格されているのですか。
- 独学で試験勉強をして3年前に合格しました。ですので、次の製図の試験は学科試験免除のラストチャンスなんです。
- 独学ですと大変だったのではないでしょうか。
- 将来は、建築パースの描ける一級建築士として独立することを目指しています。うちの会社では資格手当てや授業料の補助はありません。会社に言われて受験したのではなく、自分の目標のために取り組んでいることですので、試験の勉強は大変ではありますが、苦ではありません。
- 建築士事務所ドワーフの仕事では、どのような建築パースを描いているのですか。
- お客様と打ち合わせをして伺った新居の要望を元に図面と建築パースを描きます。
最初にプランの提案をするまでにお客様には要望をノートにびっしり書いてもらうんです。ノート5ページ分くらいになることもあります。
ですので最初に見てもらう時点でかなり要望通りに仕上げるようにしています。以前は、図面と外観パースで提案をしていたのですが、内観パースも見てもらうようにしてからお客様の反応は大きく変わりました。もちろんそれでも成約に至らないこともありますけど、ありがたいことに9割くらい成約していただけています。 - 建築パースの効果は大きいですね!
- 仮にプランが大きく変わったとしても、「ここまでやってくれたから」と思っていただけて、弊社に依頼してもらえています。
- 成約だけでなく信頼も得ることができているのですね。
- 本当は、お客様と打ち合わせをしていて、その場でさらっと手描きで建築パースを描きたいんですけど、自分は描けない。描ける人がうらやましいです。
- 次に別所さんが個人で行なっている「konstnär コンストナー 建築パース&デザイン」でのお仕事について伺います。
- 「建築士事務所ドワーフ」として制作する建築パースと「konstnär コンストナー 建築パース&デザイン」として制作する建築パースでは何か違いがありますか。
- ハウスメーカーですと建築パース制作の専門スタッフの方がいることがありますが、地場の小規模な工務店ではまずいません。せっかくの素晴らしい図面も競合になるとプレゼン力の差から不利になるケースも多いです。コンストナーとしては、そういった方々の役に立てる建築パースを追及し、「こだわらない」ことにこだわって建築パースを作成しています。
- 「こだわらない」ことにこだわる建築パースとはどのようなパースでしょうか。
- コストをかけて作りこめば綺麗で見栄えのよい建築パースはでき上がります。しかしその建築パースが住宅業界の実務で必ず役立つとは限りません。住宅業界は建築パースにコストをかけることができないのが現状です。「こだわらない」というと手を抜いてるようなイメージを持たれそうですが違います(笑)。要するに「何を作るか」ではなく「何を作らないか」という考えを念頭に置いて建築パースを制作しています。
- なるほど。建築パースに必要なものは描きつつ、コストを抑えるのですね。
- お仕事の依頼を頂きますと、建築パースの用途やご要望などを伺いますが、「それでしたらここまで作りこまなくてもいいのではないですか」と提案します。もちろん制作費、製作時間に反映されるので、安価、短納期で建築パースをご提供できています。
- それは喜んでもらえそうですね。制作に関するやり取りで困ったことなどはありませんか。
- 建築に関する知識はドワーフの業務で身に付けることができていますので、専門用語や図面の読み方などについては大きく困ったようなことはありません。
コンストナーの仕事では、ご依頼、お客様とのやり取り、建築パースの納品はメールで行うことがほとんどなのですが、依頼いただく方からするとどんな人間が建築パースを作っているのか分からないと頼みづらいのではないかなと思うんです。そこでFacebookを活用しています。 - Facebookはどのように活用されているのですか。
- やり取りはメール中心ですし、電話をしないこともあります。一度も会わないどころか声も聞かずに仕事が完了することは多いです。せめて顔だけでも分かってもらえればと思いFacebookで私自身のことを発信しています。現在ではコンストナーとしての仕事の9割ほどがFacebookからいただくようになりました。
- それは多いですね!
- それとFacebookは個人同士のお付き合いになりますので、ありがたいことに同業者で建築パース製作者を探している人に紹介していただけたこともあります。
- 最後にこれから建築パース制作を始めようと思っている人にアドバイスをお願いします。
- やはり最低限の建築の知識は必要です。それ以外ですといろいろな人の建築パースをたくさん見たり、建築の写真を見たりして、実際にどんな風に見えるかを観察することは必要ですね。
厳しい業界ではありますが、依頼されたことを何でも引き受けるのではなくて、自分の「売り」を決めるのが大切なことだと思います。
- ありがとうございました。(H.T.)
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ページ公開日:2013年2月7日