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建築パース プロへのインタビュー


建築パース業に携わる方に制作の極意、テクニックを聞く「建築パース プロへのインタビュー」。
富山県のデザイン会社で建築デザイン、建築パース制作をされている株式会社ネットワールドの兼松尚史さんに話を伺いました。

第5回 株式会社ネットワールド 兼松尚史さん

プロフィール
株式会社ネットワールド 建築CGデザイナー 兼松尚史さん
兼松さんの日々のお仕事について教えてください。
Webサイト・広告の企画・デザインをしている株式会社ネットワールドで、建築CGデザイナーとして建築デザイン、建築パース制作を担当しています。住宅や施設のデザインをして、それを建築パースに仕上げてクライアントへ提案しています。私が作成した建築パースは、弊社のスタッフとともにWebや広告へ展開していきます。
建築パースを描くようになったきっかけを教えて下さい。
自宅のリフォームを考えていた時に、妻に自分の考えを伝えても言葉や図面だけではうまく伝えることができなかったんです。そこで自分の考えている住宅のイメージを建築パースにしようと思い、住宅用CGソフトを使い始めました。それで、作った建築パースを妻に見せたらすんなり理解してもらえました。
建築パースの役割をご自身で体感したわけですね。
何もイメージできていないところから計画をスタートさせるのではなくて、建築パースでスタート時にイメージを作っておくことで、そこからさらにイメージを発展できることがわかりました。その頃は、ハウスメーカーで設計の仕事をしていたのですが、この経験を仕事で活かそうと思い、仕事で建築パースを描くようになりました。
以前から建築関係のお仕事をされていたのですね。
そうなのですが、学生の頃は自動車のデザインに興味があってデザインの専門学校に通っていました。卒業後は、自動車メーカーに就職しました。そのあとは、看板製作、舞台設計の仕事を経験し、ログハウス専門の工務店、ハウスメーカーに務めていました。
現在の会社に入る前は、家具メーカーで家具設計、家具デザインをしていました。設計事務所からの仕事もあったので、その時に家具製作だけでなく建築パース制作の依頼もいただくようになりました。そのうちに家具製作よりも建築パース制作の仕事が増えてきて、これを機に新たな展開を目指して、現在の会社に入社しました。
いろいろなお仕事を経験されているのですね。建築についてはどのようにして学ばれたのですか。
工務店、ハウスメーカーに務めていた時に仕事を通して覚えていきました。建築デザインや建築パース制作は、建築の知識がないと勤まりません。図面の通りに建築パースを描かないといけませんし、建築をわかっていないと建築のデザインもできません。
お仕事で建築デザインをされていると、やはりご自宅のデザインもされたのですか。
はい、5年前に自宅をリフォームしたのですが、私がデザインしました。それがきっかけで多くの設計事務所の方と知り合うことができて、一緒にお仕事をするようになりました。




詳しく教えて下さい!
自宅のリフォームは、設計事務所に全てを依頼したのではなく、私も一緒になって設計から携わったんです。設計、図面作成、現場の打ち合わせなどは、富山県の設計事務所にお願いしました。私は、デザイン、基本設計、家具製作、造園工事、塗装工事、内装の仕上げをおこないました。
珍しいパターンですね。
リフォームが完成してから、しばらくしてお誘いがあり応募してみたところ、2つの建築賞(※)を受賞する事ができました。

「平成21年度 第40回 富山県建築賞」(社団法人 富山県建築士会)「第41回 中部建築賞」(一般財団法人 東海建築文化センター)

それはおめでとうございます!
受賞したのをきっかけに自宅の見学会をおこない、富山県、石川県の設計事務所の方に来ていただきました。その時に私のことを知っていただき、仕事をいただくようになりました。
ご自宅がポートフォリオとなったわけですね。
仕事のつながりを作れただけでなく、現在の仕事でも活用することができているんです。お客様へ住宅デザインの提案をするときは、作った建築パースと一緒に自宅の写真を見てもらっています。「建築パースが実際にこうなります」「私の自宅ではこのようにできましたから、お客様の時はもっと良くなりますよ」と話をします。それで、お客様は安心されます。

次に兼松さんのお仕事の内容について伺います。
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株式会社ネットワールド 事務所内

株式会社ネットワールド 事務所内

建築デザインは、建築パース制作とは違った苦労があるのではないでしょうか。
例えば、某所のカフェの建築パースを制作したときは、図面はなく、建築雑誌の切抜きを見たり、お話を聞いたりしたうえで設計サイドが想像していることを理解し、建築パースを作成しました。私の仕事ではこのようなパターンが一番多いかもしれません。
ご自身で提案された建物が実際に建つことを思うととてもやりがいがあるでしょうね。
他には、クライアントがデザインをどうしていいか決めかねている場合は、私の方で建築デザインを検討して建築パースにして提案します。検討するにも建築に関する知識は必要ですね。実際に施工できないものを提案するわけにはいきませんから。
建築パースを描く上で、建築の専門的なこと以外で必要なことはありますか。
クライアントの方と話をしていて、その方がなにげなく言ったことを大事にしています。そして、そのことを建築パースに反映させるようにしています。そうすると感情移入してもらいやすくなります。
例えば、歯科医院の建築パースでは、クライアントの方が「最近、自転車をはじめて…」って言っていたのを聞いて、建物の前を走る自転車を描きました。それを見てもらうと「おっ」って思ってもらえるんです。建築パースができるまで言わないで、完成してからネタばらしするのがポイントです(笑)。


嬉しいサプライズですね。他に建築パースを作成する上で工夫していることはありますか。
住宅のパースでは、そこで生活するシーンが想像できる工夫をしています。例えば、室内パースにコンセント、スイッチを図面通りに描いています。こうしておくことで、この照明はこのスイッチ、掃除機を使うときはこのコンセント、という風に建てる前に実際にこの家で生活していることをイメージできるようになります。そういうところを建築パースで表現しておくと「あ、ここまでちゃんと考えてくれている」って思ってもらえ、お客様は安心してもらえるんです。
これだと完成後のトラブルも回避できますね。
建築パースがなかったら、完成した住宅がイメージできないので、不安だけが大きくなってしまいます。工事が始まると、現場によく足を運ばれてチェックされる施主の方がいますが、ほんとうに大変だと思いますし、現場監督や設計事務所も対応が必要になります。建築パースで前もって施主様の心配事が払拭できていれば、完成した先のことに目を向けられるので、家具やファブリックをどうするのかをゆっくり検討してもらうことができます。それだとお客様にとっても幸せですし、設計事務所はその分、別の仕事に時間を当てることができます。
兼松さんの建築パースは、そのような機能的な面があるだけでなく、ポストカードのような美しさがありますね。
私が仕事で携わった住宅にお住まいのお客様が、建築パースをテレビの上や壁に飾ってくれているんです。それだったら、ずっと飾ってもらえるような絵にしようと、描いた建築パースの想いをタイトルにして添えるようにしています。お客様からするとこれからずっと暮らすマイホームじゃないですか、そう思うとこういうところも手は抜けないです。建築パースをパソコンの壁紙にしてくれている設計事務所の方もいるようです。毎日見る画面ですから、それだけ気に入ってもらえていると思うと嬉しいです。
それは嬉しいですね。最後に建築パース制作の仕事をしていて良かったことを教えてください。
私は自分の思い通りにしたいという気持ちがほとんどなくて、お客様が考えていることを絵にして、喜んでもらえるのがすごく嬉しいんです。「こんな家を建てたい」っていうイメージはあるけど、設計者にうまく伝えられず計画が進まないお客様がいると、代わりに表現してあげたくなるんです。
建築パースを描く仕事は自分のデザインを表現するのとは違って、自分以外の人が思い描いた想像を表現する仕事です。それを表現するには、技術はもちろん必要ですけど、相手が何を思ってイメージしているかを理解することが一番重要です。設計士の方でしたらその人が今まで建ててきた建物を見て、家を建てようとしている方でしたらどのような家が好きで今までどのような生活をしてきたのかを伺うと、イメージできてきます。
「あ、そういうこと!そういうこと!」って言ってもらえるとすごく嬉しいですね。絵にしたその人のイメージが、実際に形になったらもっと嬉しい。実際に生活する人の新しい人生がそこで始まる、大変だけどやりがいはあります。
喜んでもらえれば、自分も嬉しくなるし、自分を磨いていくことができます。これから建築パースを描こうと思っている方は、自己満足だけでは終わらないで欲しいですね。

ありがとうございました。(H.T.)
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ページ公開日:2012年11月5日